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【落合博満が上司なら間違いなく部下はついてくる】
昨年の優勝チーム、中日ドラゴンズで内紛が起こっている。
高木守道監督が権藤投手コーチ起用法に対し、マスコミに不満をぶちまけているのだ。
9月14日の中日戦（マツダスタジアム）では、同点に追い付いた8回裏、1死2塁の場面で、広島は代打の切り札・前田智徳が登場。高木監督は左打者の前田に対し、左の小林正の起用を考案。だが、権藤コーチは温存を考え、右の矢地が続投した。9回は、普段緊迫した場面では投げることの少ない雄太が登板し、サヨナラ負けを喫した。
試合後、高木監督は「雄太は話にならん。諦めとったよ、オレは」と権藤コーチと雄太を批判。確かに、巨人の優勝マジックが順調に減っている今、2位の中日は死ぬ物狂いで阻止しないといけない立場だ。高木監督が権藤投手コーチの起用法に物申したくなるのは、十分理解できる。
だが、その不満を外部の人間に漏らす必要があるのだろうか。
昨年まで中日の監督を務め、8年間でリーグ優勝4回という偉業を達成した落合博満氏であれば、このような発言はしないだろう。
「選手にもコーチにも家族がいる。マスコミを通じて批判すれば、子供がイジメられる原因を作る。だから、言うことがあれば、本人に直接ダメ出しをする」
これが落合前監督の方針だった。
系列紙にすら、まったくしゃべらない落合はマスコミからの評判が悪く、それゆえに監督を解任されたといっても過言ではないほどだ。自分がいくら悪く言われようとも、落合は選手やコーチという自分の部下を守り通した。
最も顕著な例は、07年の日本シリーズ第5戦である。この試合、3勝1敗と53年ぶりの日本一に王手をかけていた中日は、シーズン 勝の山井が先発。山井はあれよあれよという間に、8回を投げきり、気がつけば1人のランナーも許していなかった。1対0と最小得点差とはいえ、9回もこのまま、山井がマウンドに上るものと思われた。
だが、中日ベンチは世間に言わせれば、まさかの選択をした。
「ピッチャー、山井に代わりまして、岩瀬」
完全試合目前の男を交代させたのだ。岩瀬も3人で締め、日本シリーズ史上初となる“完全試合リレー”で、中日が53年ぶりの日本一に輝いた。しかし、試合後から落合監督は叩かれまくった。
「なぜ、完全試合の投手を代えるんだ」
「非情な采配すぎる」
落合監督は戸惑ったはずだ。
「なんで勝って、日本一という結果を手に入れたのに、批判されなきゃいけないんだ？」
中日の日本一は、53年ぶりである。
それよりも、個人の勲章を優先させろというのか。もし山井で行って負け、そのまま日本ハムに流れを奪われ、逆転日本一をさらわれたら、“采配ミス”と批判するのはマスコミではないのか。
それでも、落合は自分を貫いた。すべてに批判を、みずから受け止めた。
もっとも注視すべきことは、この継投は落合の指示ではなく、森繁和投手コーチの作戦だったことである。だが、落合はそのことは一切口に出さず、あらゆる非難を一手に受け止めた。監督退任後、4年経って初めて、実は落合が決めたことではない、と判明したのだ。
このような上司がいれば、間違いなく部下はついてくる。
「この人のために頑張ろう」
「この人のためなら死んでもいい」
中日の選手やコーチはこう思っていたはずだ。
実際、2010年、11年と中日は連覇を果たし、落合監督の勇退に花を添えている。
話は戻るが、確かに権藤コーチの投手交代には首を傾げたくなる場面もあるだろう。しかし、いろんな理由や事情はあるにせよ、権藤コーチに任せているのは、ほかならぬ高木守道監督なのである。落合監督であれば、身内を批判することはしないだろう。批判行為は、結局自分を批判することになると分かっているからだ。
自分の指示でなくても、「責任は俺にある」とすべてを受け止める。こんな上司がいれば、会社は一丸となり、目標に向かって邁進するはずだ。
個人的コメント
「監督退任後、4年経って」はちょっと違う気がしますが・・・
営業面で貢献してくれないので、仕方ないのはわかりますが、
退任は「なんで？？？」と思いました。
ソフトバンクファンですけどね。
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